『着物の衣替え のルール』とは? それって守らなきゃだめ? 守らないなら、どう切り替える?
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こんにちは。
着付け&キモノナビゲーターのかほです。
はじめてさん&初心者さんがキモノを
楽しむお手伝いをしています。
着物を初めて、最初にちょっと驚く? こと。それが「着物の衣替え」。
洋服であれば、暑くなったら半そでを着て、涼しくなったら長袖を着ますよね。半袖を着るか、長袖を着るかは個人の自由です。
ところが!
着物には、「どんな着物をいつ着るか?」が決まっているのです。これを守らないと、「着物警察」に逮捕されて切符切られて罰金を取られてしまいます(^O^)←うそです。
結論から言っちゃいますと、「どんな着物をいつ着るか?」というルールがあることは確かです。ただし、守る守らないは自由です。あるいは、「守らなくてはいけない」ときがあるだけで、普段は洋服と同じく自由です。
今回はそんな「着物の季節」のお話です。
一応、知っとく? 「着物の季節のルール」
「知らなかった!」と「知ってるけれど、自由にさせてもらいました」とでは大きく変わる着物の世界。
まずは、知識としての「季節のルール」のご説明です。
着物には大きく季節ごとに3種類の着物があります。
1.袷(あわせ)
2.単衣(ひとえ)
3.薄物(うすもの)
それぞれをおおざっぱにご説明すると。
袷とは、裏地のついている着物のこと。冬物の着物です。
ちなみに、裾の方の裏地のことを「八卦」と呼びます。歩くとちらちら見えるので、「表の色と八掛の色の組み合わせ」を楽しむのも、袷の着物のだいご味です(^^
単衣とは裏地のついていない着物のことです。春秋ものの着物です。
表の生地は袷と同じものになります。
薄物は、単衣と同様、裏地のついていない着物ですが、単衣や袷とは違い、透け透けの薄い生地を使います。夏物の着物です。
それぞれをいつ着るか?と言いますと、基本的には
袷 10月1日~5月31日まで
単衣 6月1日~6月30日、9月1日~9月30日
薄物 7月1日~8月31日
となります。
よく本には、「袷は10月から5月まで」とありますが、これは「なんとなく10月ぐらいから5月ぐらいまで」ではなく! 「10月1日~5月31日」を意味します。
いやいや、ルールよりも、快適さを優先しましょ派のみなさまへ
着物の季節のルールを守ったとしますと、例えば「5月いっぱいは袷@冬物の着物」ということになります。
でも、ちょっと待って。
5月といえばGW。このあたりって・・・・・・住まう地域にもよりますが、名古屋ではすでに30度超しの気温になることも多々あります。周りはみんな半そでです。
そんな中、冬物ですか?????
衣服の第一義は「外気から体を守り、快適に過ごすためのもの」です。なのに、30度で冬物?
そんな方には、「快適さ優先で着るものを選ぶ」ことをおすすめします。
最近の気候状況から考えると、とてもとてもおおざっぱな目安としては、
4月の暑い日、5月、6月・・・・・・単衣
6月の暑い日、7月、8月、9月頭の暑い日・・・・・・薄物
9月、10月・11月の暑い日・・・・・・単衣
ほかは袷
こんな感じかなぁと思われます。
個人差もありますが、わたしが目安にしているのは
最高気温20度前後・・・・・・袷 ⇔ 単衣 切り替え
最高気温25度(夏日)・・・・・・ 単衣 ⇔ 薄物 切り替え
が心地よいかなと感じられます。
寒がり、暑がり、それぞれによって「快適ポイント」が違います。ご自身の中での「快適ポイント」を知っておくと便利ですよ♡
着物着て過ごした時、「今日はちょっと暑かったな」「今日は快適だった!」「今日は寒かった!!!」と思った時の気温を調べてみてください。それが「あなただけの快適ポイント」です。本やネットに乗っている「他人の快適ポイント」なんて、あてになりませんよ~。
ちなみに、なぜ「最高気温」か?といいますとね、着物は洋服と違い、下に着たものを脱ぐのがとても大変です。「帯までは一日のうち一番暑い時間に合わせて着る」がセオリー。それで寒い時には上に羽織ることで調整してくださいね。
そうは言うても、世間体とか季節感とか信義もあるのです
が。
人はパンのみにて生きるにしかず。
衣服の第一義は「快適に過ごすため」のものですが、「ご一緒するお相手に敬意をしめす」ものでもあります。ルールを守ることで敬意を示す必要があるときには、暑い寒いは一切無視し、きちんとルールを守られるのがよろしいかと存じます。
また、「おしゃれのため」に身にまとうものでもあります。
「季節先取りがおしゃれの基本」であることは、着物も洋服同様です。
「快適さを重要視」している方でも、後ろ倒しは少なめな方も多いですよ(わたしも同じく)。
そして、「ルールは破るためにある!」ばかりが正解とも限りません。
季節のルールをきちんと守ることで、「決められた枠の中でどうするかを考える」楽しみを感じている方もいらっしゃいます。なにがなんでも快適さ優先!する必要もありません(^^
ということで、とある着付け講師の場合
あくまでも、一例として。
4月の暑い時期から、単衣を着ます。早い方なら4月から薄物(夏物)を着られますが、わたしは暑さ慣れするためにもちょっと我慢気味(笑
ちなみに、単衣と袷はぱっと見の違いが少ないので、単衣は案外重宝します。
5月になったら、単衣を本格解禁。
6月になったら、薄物も解禁、半ばぐらいからほとんど薄物を。それでも、うっすうすのものは7・8月にとっておきたいので(笑)、麻なども透け感の少ない夏物を多用します。
9月は夏物!と一目でわかるものは上旬(9/9の重陽の節句)まで。その後は透け感の少ない夏物や薄めの木綿着物などで。
一度単衣に切り変えましたら、あとは気温次第。前に書きましたように、単衣の生地は袷の表生地とほぼ一緒。ぱっと見の違いが分かりにくいので、袷への切り替えは心地よさ重視で。
初夏は早めに薄物にしても、秋はちょっと我慢して薄物は早々の終わり。
襦袢は4月から、遅ければ11月ぐらいまでは夏物の麻を使い、ここで体温調節をしています。
こんな感じでしょうか。
着付け教室【ふぇりちた】では「実践的な着物のお話」もレッスンでしています。